はっきりさせておきたいことがあった。
それは僕の中にある膨らんだ雲のような気持ちだった。
一体それがどこから来るのか僕にはわからない。
だから僕はひっそりと難しい顔をするしかない。だってよく分からないから。





頬杖をついてぼんやりと外を眺めていたに声をかけた。
どくり と振り返った瞳が合っただけで心臓の鼓動が大きくなった。
僕はまた眉間に皺を寄せた。
「なに?」
たった2文字。その唇は空気を震わせた。
僕は押し黙った。特に話すこともなかったからだ。沈黙だけが静かに流れる。僕は胸が締め付けられるような感覚に苛まれながらも胸の中で渦巻く大きな雲のような空気のようなつかみ所がない感覚がなんなのか探りを入れる。はそんな僕を見て、しばらくこちらを向いていたがそのうちにフィと窓の外に視線を戻した。
そして揺れるカーテンの隙間から何かを見つけたのか彼女の体が少しだけ前に動いた。
その先に何があるのかは僕には分からなかったけど、彼女が呟くように、ある男の名前を呼んだ時、僕ははっきりとこの胸の中に渦巻くつかみ所がない空気のような雲のようなもやもやしたものがなんなのか、分かった、気がした。




(片思いスザク万歳)